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ミャンマーが求める外資の流入

ミャンマーが求める外資の流入

ミャンマーが求める外資の流入

過去数年間、ミャンマーの経済は民主化政策によって、欧米資本が著しく流入した。

加えて、アジアの投資家・多国籍企業経営者・海外政府高官が、ことごとくミャンマーに進出し、「新興アジアのラスト・フロンティア」という光景がたびたび垣間見えたのも事実だ。

大くの場合、海外直接投資の増加によって強い経済成長は実現する。しかし、ヒトやモノの流入に比べて、海外直接投資の流入額は比較的低調だ。なぜだろうか。そして、どうするべきか。

 

最下位に沈む

歴史的に、アジアへの海外投資は急速に拡大している。しかし、地域や国によって大きな違いがあるのも事実だ。海外直接投資の歴史的特徴を紐解くと、投資の流れはその国の現状を如実に表す。海外投資を求めるアジア各国間で、競争が起きているのは明らかだ。

過去30年間、アジアにおける海外直接投資は3グループの争いだった。2012年においては、香港、中国、シンガポールだけで、70%以上の海外直接投資を享受した。続くのは、韓国とASEANの虎と呼ばれるグループだ。インドネシア、タイ、マレーシア。3番手がベトナム、台湾、フィリピン、マカオ、ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスだ。

1980年代までミャンマーへの外国投資額は、アジア国内で最も低い。海外直接投資データによると、年間600万ドル以下と記されている。しかし、その後の変化で、海外直接投資額は1989年に600万ドルに達し、1990年半ばには12億ドルへ急進した。

2010年に入ると、投資額は増大。ミャンマーの潜在力は海外直接投資に値すると、評判になった。実際に、外国投資は12億ドルから約100億ドルへ伸張し、ミャンマーのGDPに対する海外直接投資額は15.7%から20.7%へ増加した。

経済改革と開放政策によって、海外直接投資額は昨年119億ドルに達した。一方、対GDP比率では、20.6%と変化は見られない。

ミャンマーに対する海外直接投資流入は、1980年代までごく少額だった。1990年に最初の転機が訪れ、2億2500万ドルを超える海外投資の流入を獲得。ようやく10位のベトナムと肩を並べた。一方、過去にフィリピンと同額だったミャンマーへの海外直接投資は、昨年以降、東南アジアで最も成長を続けるフィリピンの後塵を拝している。

 

何がなされるべきか?

今日における海外直接投資の意味合いは、国際競争の原資という側面だけでなく、国家間協力の足掛かりという要素を含む。実際に海外直接投資先を選定する場合、その国の汚職や競争力などのビジネス環境を考慮し、国際的な尺度に基づいて決定される。

世界経済フォーラムが発表する「国際競争力ランキング」によると、ミャンマーは139位。東南アジアで2番目に低い位置にいる88位のカンボジアから、約50位後ろにつけている。

トランスパレンシー・インターナショナル社による「腐敗認識指数(Corruption Perceptions)」によると、ミャンマーは172位。スーダンとアフガニスタンの間に位置し、カンボジア(157位)、インドネシア(118位)、フィリピン(105位)から大きく後れを取る。

さらにミャンマーは、世界銀行の「ビジネス環境指数」でも182位に甘んじており、コンゴとエリトリアの間だ。ラオス(159位)、カンボジア(137位)、フィリピン(108位)の後ろに位置する。

ミャンマーは、ビジネス環境の改善によって、海外直接投資を増大できる。汚職と戦い、競争力を高めることが必要だ。海外直接投資を呼び込むために、今こそこうした努力が、考慮されるべきである。

まず、競争力を強化するため、生産性の高い出資者を優先的に呼び込むべきだろう。例えば、出資者のため、電気料金の補助を行うだけでなく、送電網を整備し送電品質を高めることが、ビジネス環境において生産性を高める原資となる。

第2に、立地自体を、入居企業や産業に利するものに改善するべきだ。しかも1社や2社程度のためだけではない。税金について言えば、特定分野の関税免除は、市場の歪みを引き起こす。それよりも、税関手続きの簡略化による、国際的な競争力を拡大に期待したい。

第3に、出資企業に条件を設定するよりも、進出先を限定するほうが良い。こうすることで、成長に不可欠な、競争が生まれる。法人税を撤廃して進出を促すことは、「どん底への競争」につながる悪手だ。対照的に、ビジネス環境自体を改善する策は、国家の魅力を高め、経済成長につながるだろう。

最後に、一度限りの取引ではなく、継続的な投資に注力するべきだ。もし、出資者が追加投資を含む投資を考えているなら、ミャンマーにとっての利益もより大きくなるだろう。

 

世界的な海外直接投資の不振

今年4月、EUはミャンマーへの経済制裁を解除することに合意した。アメリカは1年前に経済制裁を一時停止している。回復に手間取り、悲惨な状況となっている停滞中の経済先進国が取ったこの方針は、ミャンマーへ良い影響をもたらすだろう。

世界中で停滞気味な成長予測のため、海外直接投資額も影響を受ける見込みだ。2012年、投資流入額は急激に18%も減少した。成長国への海外直接投資の流れが、32%も減少したことは、最も重要な点だ。こうした事象は約10年前にも見られた。海外直接投資の減少額は、ヨーロッパだけで全体の3分の2を占めている。

その上、2008年からの流動的ながらも成長を続けた、先進国からの海外直接投資は、低金利と非伝統的な金融政策によるものだった。2014年の春までに、この成長は、FRBの予定する量的金融緩和政策の縮小により終局を迎えるように思われる。

それは、経済縮小のリスクを意味する。もし金融政策を刺激し、米国に緊張が走れば、資本の逆流を誘発するかもしれない。そうなれば2008年~2009年のように、アジアの国々にとって、米国からの海外直接投資額の減少は不可避。長く債務危機に悩む欧州や、財政・金融政策を引き締め始めた日本も、徐々に同様の事態になるだろう。

一方、ミャンマーに対する「新しい海外直接投資」が西の先進国から増加しつつある。巨額の海外直接投資を、他のアジア諸国から受けるようになった。今日では中国の対ミャンマー直接投資額で3位以上となり、日本・シンガポール・韓国も歩調を合わせる。

多様化する海外直接投資の流れは、ミャンマーに大きな利益をもたらしている。確かなのは、近い将来、海外直接投資を巡る競争は激化し、直接投資の確保が複雑かつ難しくなるということだろう。

2013111418-2※ Dan Steinbock博士は、米国のインド・中国・アメリカ研究学会における国際ビジネス学主任研究員。中国の国際研究学・上海研究所の客員研究員。詳しくは、http://www.differencegroup.net. にて、彼自身の見解が述べられています。

 

記事番号:2013111418
【2013年11月14日(ヤンゴン)記者:Dan Steinbock】

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